家を建てる時の工法の選び方。各工法のメリット、デメリット

暮らしのヒント

これから戸建て住宅を建築しようと考えている方にとっては、木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造と言われてもよくわからないと悩んでいませんか?
それぞれの建築工法でメリットデメリットがあるので自分に合った工法を考えていきましょう。

木造軸組み在来工法

日本でいちばん多く採用されている代表的な工法で、柱(縦の構造材)に梁(横の構造材)を組み合わせて建てることから「軸組み」と呼ばれています。在来工法や伝統工法とも呼ばれ歴史のあるお寺や神社、古民家などでも採用されています。

木造枠組み壁式工法(ツーバイフォー工法)


ツーバイフォー工法は北米から伝わった、2×4インチの木材で組んだ枠に壁を張ることから木造枠組壁工法とも呼ばれます。部材や施工方法がシステム化されているためコストや工期が抑えやすいことから、ハウスメーカーを中心に全国へ広がりました。
同じ木造住宅でも、木造軸組工法は点を結ぶように骨組を造る工法、木造枠組壁工法(2×4工法)は面を組み立てて造る工法と考えればイメージしやすいのではないでしょうか。

木造工法のメリット

・建築費用が安い
一般的に、鉄やコンクリートよりも木材のほうが安価なため、他の工法に比べると木造住宅は低コストと言えます。たとえば同じサイズの住宅を建てる場合、鉄骨住宅は木造住宅の1.5倍以上のコストがかかると言われています。

・木の熱伝導率の低さ
熱伝導率とは、熱の伝えやすさのことです。この値が大きいほど、触れたときに熱が伝わりやすくなります。

■熱伝導率[W/(m・k)]
・鋼       46
・コンクリート  1.4~1.6
・木       0.1~0.13
・グラスウール  0.045~0.034
・空気      0.02

コンクリートの熱伝導率は木の約12倍となっています。つまりコンクリートは木に比べて12倍熱を伝えやすい材料だということです。

木造工法のデメリット

・風圧力、耐震性
コンクリート造と比べて風圧力や耐震性で劣ります。
台風や多い地域では注意が必要です。

・シロアリ被害
かつての木造住宅は、地面一面をコンクリートで覆わない「布基礎」が一般的。湿気が建物へ伝わりやすく、シロアリが侵入する危険性もありましたが、近年では地面一面が厚いコンクリートで覆われた「ベタ基礎」が主流となり、シロアリ被害は減少しました。

・耐久性
木材は水分や湿気に弱く、鉄骨やコンクリート造に比べて風雨による劣化やシロアリなどの害虫被害も受けやすいことは事実です。しかし、適切なメンテナンスによって驚くほど長持ちする力をもっています。

・品質に差が生じやすい
職人の腕や立地環境によって品質に差が生じやすいです。

鉄筋コンクリート工法 (RC工法)

鉄筋コンクリート造は、現場で鉄筋を組んで型枠を嵌め、コンクリートを流し込んで骨組みを作る工法です。鉄筋は引っ張る力(引張力)に強いものの、錆びやすく耐火性が低い一面があります。

一方、コンクリートは上から掛かる力(圧縮力)に強く、引張力には弱い特徴があります。鉄筋とコンクリートが互いの弱点を補い合うことで、変形しにくく耐久性が高い建物をつくることが可能に。アルカリ性の強いコンクリートで鉄筋を覆うことにより、錆の発生も防ぐことができます。

税法の基準で定められた耐用年数が、木造の22年、鉄骨造の34年と比べて、47年と長いことも耐久性を物語っており、地震や火災、台風などの災害に強いことが特徴です。
現在では材料の高品質化により100年以上も持つともいわれています。

鉄筋コンクリート工法でも数種類あります。
・ラーメン構造(柱式構造)
・壁式構造(モノコック構造)
・鉄骨鉄筋コンクリート構造(SRC造)

鉄筋コンクリート造のメリット

・風圧力、耐震性、耐久性
1番のメリットは、耐久性があること。適切なメンテナンスをすれば、一生涯住み続けることができます。風圧力、耐震性についても木造と比べて高いですので台風が多い地域、地震が多い地域などに向いています。

・耐火性
コンクリートは不燃材料なので、耐火性にも優れています。鉄筋コンクリートの厚さが10cm以上あれば「耐火構造」として、防火地域にも建築が可能です。通常のコンクリート造は壁の厚みは15cm以上あります。

・遮音性
コンクリートは外部の音エネルギーを遮断するため、遮音性能が高く、楽器演奏を楽しみたい方やシアタールームが欲しい方にもお薦めです。

・害虫被害の少なさ
コンクリートは白蟻なども食べないので害虫被害は木造よりも少ないです。

鉄筋コンクリート造のデメリット

・コストが割高
現地で鉄筋を組んでコンクリートを流すため、木造や鉄骨造と比べて工期が掛かり、コストも嵩むこと。また重量があるので、地盤改良が必要になりがちで、予定外の出費となるかもしれません。また、コンクリートは自然環境に晒されることで中性化が進み、少しずつ劣化します。気温や湿度などの条件により、ひび割れや腐食が起こることも。そうした兆候を確認したら、原因を探り、手遅れとなる前に適切な補修を行いましょう。

・熱いし、寒い(熱伝導率が高い)
熱伝導率とは、熱の伝えやすさのことです。この値が大きいほど、触れたときに熱が伝わりやすくなります。

■熱伝導率[W/(m・k)]
・鋼       46
・コンクリート  1.4~1.6
・木       0.1~0.13
・グラスウール  0.045~0.034
・空気      0.02

コンクリートの熱伝導率は木の約12倍となっています。つまりコンクリートは木に比べて12倍熱を伝えやすい材料だということです。
そのため夏は太陽光からの熱を貯めこみ、冬は外気温に影響され冷たくなり寒くなってしまいます。
ただし、鉄筋コンクリート造の家は気密性が高いため、断熱性能さえ確保できていれば冷暖房効率が良く、快適な温度で暮らすことができます。結露が生じやすいため、換気対策も入念に行うことをお薦めします。

鉄骨組工法

「鉄骨造」は「重量鉄骨造」と「軽量鉄骨造」の2種類に分類されます。軽量鉄骨造は使用される鋼材の厚さが6㎜以下の場合で、6㎜を超える鋼材を使用したものが重量鉄骨造だ。住宅で見かけることが多いのは「軽量鉄骨造」で、数々の大手ハウスメーカーが独自の商品を展開しています。

ハウスメーカーが鉄骨造の住宅といったときは、多くの場合プレハブ工法を使った軽量鉄骨造を指す。プレハブ工法とは、工場で材料を加工して床や壁を事前に作っておき、現場では搬入して組み立てるだけという建築工法のことである。

材料を大量生産でき、さらに現場での作業が楽になることから、大手ハウスメーカーでよく用いられている。

一方、「重量鉄骨造」は一般的な住宅よりも大型商業施設(大型ショッピングセンター)、大型マンションやビルを建てる際に使われる。
店舗併用住宅や1階が駐車場の住居など、大空間と強度が求められる場合には住居に採用されています。

鉄骨組工法のメリット

・建築費用が安い(軽量鉄骨造)
軽量鉄骨造の場合、事前に部材を工場で生産する。施工する職人の経験や技術に左右されず、安定した品質が保証される。大量生産されたパーツを使用することで材料費も抑えることができ、現場では大がかりな建設作業を行う必要もない。短い工期で施工を終えられるため、人件費などの建築コストも抑えることができる。

・耐震性
耐震性については、軽量鉄骨造の方が木造より優れている。耐震性を構造で比較すると
「木造 < 軽量鉄骨造 < 重量鉄骨造」となっている。鉄骨は折れにくいため、倒壊のリスクはほとんどない。ただし鉄骨造は重量があるため、地震の揺れを感じやすい。また、耐震性を重要視することで間取りの自由度が下がる可能性もある。

鉄骨組工法のデメリット

・断熱性
断熱性は木造の方が優れている。木材は断熱性や調湿性が高く、日本の気候に適している。夏は涼しく冬は暖かく、一年中快適に過ごせるだろう。一方軽量鉄骨造は一般的に断熱性が低い。高品質な断熱材を使用するなど、断熱対策が必須となる。

・防音性
防音性については、軽量鉄骨造の方が若干優れている。ただし、軽量鉄骨造はすべての壁内にコンクリートを詰めているわけではないので、木造とあまり変わらないといえる。

各工法の一覧表

各工法と比較しての順位付けです。
◎一番優れている 〇真ん中 △一番優れていない

工法建築費耐震性 風圧力 防音性耐用年数
木造
坪単価 65万~




22年
鉄筋コンクリート造




47年
鉄骨造




27年



・耐用年数
耐用年数とは国税庁が出している対象資産を使用できる「期間」のことです。減価償却資産は、使用すればするほど物理的に損耗し、価値が下がります。そして、いつかはその資産が持つ本来の価値を喪失することになるのです。

実際にコンクリートの寿命は65年以上とも100年以上とも言われ、木造に関しても何百年前からある古いお寺や、古民家もありますし、どの工法でも建物の寿命は管理状態や周辺環境が影響する為何年もつとは言えませんので上記の耐用年数は一つの目安としてお考え下さい。

まとめ

以上が主な住宅工法それぞれのメリットデメリットについてでした。
それぞれの特徴がわかることで、自分にとってどの工法が適切かということがわかってきたかと思います。工法は家の骨格となる、重要な要素。「まず工法から家づくりを考える」ともいうように、大事な住宅工法について今一度考えておきましょう。

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