沖縄あるある 住宅事情 スケブロ
沖縄の住宅街を歩くと、ひときわ目を引く美しいブロックがあります。光と影が織りなす模様が魅力的で、風が通り抜ける涼しげな壁──それが**「花ブロック」**です。
しかし、この花ブロックがどのようにして生まれたか、知っている人は少ないかもしれません。今回は、この建材が単なるデザインではなく、沖縄の風土と歴史が生んだ奇跡の産物であることをお伝えします。
アメリカからやってきた説「風のブロック」
花ブロックの起源には、いくつかの説があります。その中でも有力なのが、戦後のアメリカから沖縄にもたらされたという説です。
米軍基地の建設が盛んだった時代、沖縄には本土よりも早く、アメリカの建築様式が持ち込まれました。その中には、通気性を確保するための**「透かしブロック」**と呼ばれる建材があったと言われています。
沖縄の人々は、この「透かしブロック」を初めて見たとき、その機能性に大きな可能性を見出したのです。
沖縄の風土が育てた進化の物語
「透かしブロック」が、なぜ沖縄で独自の進化を遂げ、**「花ブロック」**と呼ばれるようになったのでしょうか。それは、沖縄の気候と人々の暮らしに、ぴったりと合っていたからです。
- 風と光を取り込む知恵 一年を通して高温多湿な沖縄では、いかに風を家の中に取り込むかが、快適に暮らす上で最も重要です。花ブロックは、風をスムーズに通しながら、強い日差しを柔らかく遮るという、まさに理想的な機能を備えていました。
- プライバシーを守る知恵 沖縄の古民家には「ヒンプン」と呼ばれる目隠しの塀がありましたが、花ブロックは、外からの視線を遮りながらも、風や光を通すという、このヒンプンの役割を見事に果たしました。
コンクリートという素材の普及も、花ブロックの進化を後押ししました。セメントと砂、水があれば作れるコンクリートは、複雑で美しい模様を自由に生み出すことを可能にし、様々なデザインの花ブロックが誕生しました。
花ブロックは、ただの建材ではない
花ブロックは、ただのおしゃれなデザインではありません。
それは、沖縄の厳しい自然と、人々が培ってきた知恵が融合して生まれた、歴史の証人です。台風の暴風をいなし、夏の強い日差しを遮り、そして家族のプライバシーを守る。その一つ一つの模様に、沖縄の暮らしの知恵が凝縮されているのです。
今では、花ブロックは沖縄の建築を象徴する**「顔」**となり、多くの住宅や公共施設で愛され続けています。
次回は、花ブロックのデザインが持つ意味について、さらに深く掘り下げていきます。