👩「沖縄って、なんで木造の家が少ないの?」
👷♂️建築士:「それ、よく聞かれます。でも台風だけじゃなくて、“歴史”と“思い込み”が合体して今の住宅文化ができてるんですよ」
沖縄では、「家を建てる=RC(鉄筋コンクリート造)」というイメージが根強く定着しています。
木造の家は建築雑誌やSNSで見ることはあっても、実際には「RCじゃないと不安」という声が多い。
でもその理由、実は“正解”だけじゃなく、“思い込み”も含まれているのです。
🧱「RC=強い」のイメージができた背景
戦後、沖縄では台風による被害や火災が多発。
米軍住宅や公共建築がコンクリートで造られていた影響もあり、
「とにかく壊れない家」としてRC造が一気に広まりました。
👵おばぁ:「うちは昔、木の家だったけど、台風で壁が飛んだよ。それからはコンクリート!」
──そんな“記憶”が、「RC造=絶対安全」というイメージの強化につながっています。
🌪️台風だけじゃない!RC造が選ばれる理由
① 塩害に強い(と言われている)
沖縄のほとんどの地域は、海から数km以内。
潮風に含まれる塩分によって、金属部品がすぐにサビるのは当たり前。
たとえば──
🔩「雨樋のビスが錆びて落ちてる」
🔧「室外機の架台がグラグラになってる」
🚪「ドアヒンジが腐食して開かない」
こんな“あるある”を少しでも減らすために、金属部分が露出しにくいRC造が安心とされているのです。
② 湿気に強い(と思われている)
これは半分正解、半分誤解。
たしかにRC造にはシロアリが入りにくく、
木造にありがちな「床下点検口からジメジメ…」みたいな現象は少ないです。
ただし──
RC造にも床下はあります。
正確には、コンクリートの“土間床”構造が多いのです。
そしてこの土間が、実は湿気をじわじわと放出し続ける存在でもあります。
👷♂️建築士:「床下はないと思ってる人が多いけど、実際は土間コンクリート。これが逆に室内湿度に影響することもあります」
③ 火災に強い(という安心感)
沖縄は仏壇文化・お線香文化が根強く残っている地域。
火の神(ヒヌカン)やローソクを使う家庭では、やはり「燃えにくい家」が好まれます。
🔥「コンクリートだから燃えない」=精神的な安心材料になっているのです。
🏠RC造ならではの“うちなーライフスタイル”
- 屋上活用ができる(物干し・避難・貯水タンク)
- 窓まわりにシャッターや格子がつけやすい
- 構造的にがっしりしていて“どっしり安心”感
こうした点も、「RCが良い」と思われてきた背景。
👵おばぁ:「屋上に干したらすぐ乾くよ〜(風強いけどね)」
🔍一方でRC造の“思わぬ落とし穴”も…
- 建築コストが高くなりがち(坪単価UP)
- 断熱しないと、夏は蒸し風呂レベルに暑い
- 湿気が抜けにくく、クロスや家具にカビが生えることも
- 工期が長く、業者によって品質差が出やすい
👷♂️建築士:「RCだから何でも安心ってわけじゃありません。“どう建てるか”がすごく大事なんです」
✍️まとめ
沖縄でRC造が選ばれるのは、
「台風に強いから」だけではありません。
それは、“長年の経験”と“家族を守る知恵”の結果であり、
そして時に“ちょっとした誤解”や“思い込み”も含まれています。
次の家づくりでは、
RCか木造かではなく、
**「暮らしに合うかどうか」**で選ぶことが大切かもしれません。
📝次回予告
【台風と住宅】第3話「窓が少ない家、閉鎖的に見えるって言われがち問題」
実は“守りのデザイン”だった沖縄住宅の窓事情。
風・光・防犯…その裏にある設計の知恵を深掘りします!