「この裏の部屋、何だかおかしくない?」
👷♂️建築士が中古住宅の下見で図面と現地を見比べていると──
「……この裏手、図面よりも広いですね。しかも壁も屋根もある。」
👩🦰施主(孫娘):「あ〜それ?おばぁが昔“洗濯物干し場”を囲ったやつですね。台風とか雨が強いからって、壁をつけて物置にしたみたいです。」
👷♂️建築士:「いやいや…これは“ただ囲った”だけじゃなくて、れっきとした増築ですよ。しかも、10㎡(約6畳)以上あるから“申請なし”なら違反建築かも…。」
🧱沖縄では「囲い=部屋化」は“あるある”だけど…
沖縄ではよくあるこのパターン。
- 台風が多いから洗濯物を守るために囲った
- サンダル・農具・釣り具などをしまいたくて小屋代わりに
- おばぁが「風が強くて怖いから」って、壁をつけてもらった
──どれも“住まい手としての正しい判断”のように思えますが、
実はこれ、建築基準法的にはれっきとした「増築」扱いになることが多いんです。
📐「10㎡の壁」──ここが分岐点
まず覚えておきたいのが「10㎡の壁」。
増築や建て増しをしても、10㎡以内なら申請が不要なケースもあります(条件による)。
しかし10㎡を超えた瞬間、それは**建築確認申請が必要な“建築行為”**になります。
沖縄の住宅事情でよく見られる“囲い系”の事例で言えば、
- 🔸 洗濯干場の囲い → 奥行きが長いと10㎡超えやすい
- 🔸 カーポートの屋根 → 軽く10㎡を超えることが多い
- 🔸 ベランダをサンルーム化 → 面積によっては建ぺい率オーバー
- 🔸 倉庫をDIYで設置 → 雨水対策で囲った結果、増築扱いに
- 🔸 屋上にプレハブ設置 → 「置いただけ」が居室扱いに
というように、「つい、やっちゃった」が違反になるケースが多発しています。
😨確認申請を出していないとどうなる?
確認申請を出さずに増築を行った場合、以下のようなリスクが発生します。
リスク | 内容 |
---|---|
売買トラブル | 登記面積と実際の建物が違うため、売主の説明責任が問われる |
融資が下りない | 金融機関が違反建築と判断すると、ローン審査が通らない |
建て替え不可 | 現状が違反建築扱いになると、そもそも新築許可が出ないことも |
固定資産税の過少申告 | 申告と実態が違えばペナルティ対象に(※調査で発覚することも) |
しかも、親世代が“なんとなく”でやった囲いが、
数十年後に子世代・孫世代の「家をどうするか問題」に直結してくる──
というのは、まさに“沖縄あるある”の代表例です。
🧓「昔はこれで通った」は今は通用しない
昔は「誰も何も言わなかった」かもしれません。
しかし、今は…
- 建築基準法が厳格に適用される
- 売買・相続の場面で書類チェックが入る
- インターネットで調べれば、買い手も目が肥えている
- 金融機関や役所が厳しくチェックする
というように、“昔の感覚”がそのまま通じる時代ではなくなっています。
👷♂️建築士からのリアルなアドバイス
✅ 「たぶん大丈夫」と思っている囲いこそ要注意!
✅ 増築部分は「面積」と「屋根・壁の有無」で判断される
✅ 「祖父母の代でやった増築」は、家族でしっかり話し合って!
中古住宅の売買でも、相続でも、建て替えでも、
この“囲った部分”が書類と一致しないことでトラブルになるケースは本当に多いです。
📝まとめ|囲いの正体は、違反建築の入口だった!?
沖縄の住宅は“暮らしやすくする工夫”がたくさん。
でも、その工夫が法律と合わないとき、
気づけばあなたの家も──
「違反建築」に片足突っ込んでる…!?
「ただの干場」「ちょっと囲っただけ」であっても、
将来、家族や子どもが困るかもしれないなら、
今のうちに正しい知識で向き合っておくのが大切です。